テレワーク終了に伴うIT機器回収の重要性
コロナ禍を経て普及したテレワークですが、2026年現在、多くの企業がオフィス回帰や勤務形態の見直しを進めています。それに伴い、従業員宅に貸与していたIT機器を回収する必要が生じています。
IT機器回収で直面する課題
セキュリティリスク
- 個人データと業務データの混在
- 私的利用によるデータの混入
- パスワード管理の不徹底
- マルウェア感染のリスク
物理的な課題
- 機器の所在が分散している
- 従業員の協力が得られない場合がある
- 機器の破損や紛失
- 付属品の欠落
運用上の課題
- 回収スケジュールの調整
- データバックアップの確認
- 機器の動作確認
- 次の利用者への再配布準備
安全な機器回収のための5つのステップ
ステップ1:回収計画の策定と社内周知
回収をスムーズに進めるため、明確な計画を立て、十分な事前告知を行います。
計画策定のポイント:
回収対象の明確化
- 貸与している全機器のリスト作成
- 従業員ごとの貸与機器の確認
- 付属品(マウス、キーボード等)の確認
スケジュールの設定
- 回収開始日と完了期限
- 部署・チームごとのスケジュール
- 予備日の設定
社内周知の方法
- 全社メールでの告知(1ヶ月前)
- リマインドメール(2週間前、1週間前)
- 部署ごとの説明会開催
- Q&Aの作成と共有
周知すべき内容:
- 回収の理由と背景
- 回収する機器の種類
- 回収スケジュール
- 返却方法(持参 or 配送)
- データバックアップの方法
- 問い合わせ窓口
ステップ2:従業員によるデータバックアップ
機器回収前に、従業員自身で必要なデータをバックアップしてもらいます。
バックアップ対象の明確化:
個人フォルダ
- デスクトップに保存したファイル
- ドキュメントフォルダ
- ダウンロードフォルダ
- メールの個人フォルダ
業務データ
- 進行中のプロジェクトファイル
- 顧客データ
- 見積書・請求書等
- 業務関連の画像・動画
設定情報
- ブラウザのブックマーク
- メールアカウント設定
- VPN設定情報
- アプリケーション設定
バックアップ手段の提供:
- クラウドストレージの容量拡大
- 外付けHDDの貸与
- 社内サーバーへのアクセス権限
- バックアップソフトの提供
注意事項の周知:
- 個人的なファイルは保存しないこと
- 機密情報の取り扱いルール
- バックアップ完了の報告方法
- 期限までの完了を徹底
ステップ3:機器回収の実施
計画に基づいて機器を回収します。回収方法は企業の状況に応じて選択します。
回収方法の選択肢:
オフィスへの持参 メリット:
- 即座に機器を確認できる
- その場で付属品の確認が可能
- 輸送中の破損リスクがない
注意点:
- 受付窓口の設置が必要
- 受付時間の設定
- 受領書の発行
配送による回収 メリット:
- 従業員の負担が少ない
- 遠隔地からの回収も容易
- スケジュール調整が柔軟
注意点:
- 輸送中の破損・紛失リスク
- 配送業者の手配
- 梱包資材の提供
- 配送伝票の管理
回収業者による訪問回収 メリット:
- 従業員の負担が最小
- 専門的な梱包・輸送
- データ消去も同時に依頼可能
注意点:
- コストが高い
- 訪問日時の調整が必要
- セキュリティ面での配慮
回収時のチェック項目:
- 機器本体の確認
- シリアル番号の照合
- 電源ケーブル
- マウス・キーボード
- その他付属品
- 外観の確認(傷・破損)
- 電源が入るかの確認
ステップ4:回収機器のデータ処理
回収した機器のデータを適切に処理します。
処理フローの例:
1. 初期確認
- 電源が入るか確認
- ログイン可能か確認
- 重要データの残存確認
2. データの分類
- 会社データ:サーバーに保存
- 個人データ:従業員に返却確認
- 不要データ:削除対象
3. データ消去の実施
- バックアップの最終確認
- 専門ソフトによる完全消去
- または物理破壊
4. 消去証明書の発行
- 機器ごとの証明書作成
- 台帳への記録
- 保管(5年間)
データ消去の方法選択:
再利用する場合 → ソフトウェア消去
- OS再インストール
- 次の使用者へ配布準備
廃棄する場合 → 物理破壊または磁気消去
- 確実なデータ削除
- 専門業者への委託
故障している場合 → 物理破壊
- データ復旧不可能な状態に
- 専門業者による処理
ステップ5:機器の再配置または廃棄
回収した機器を再利用するか、廃棄するかを判断します。
判断基準:
再利用する条件
- 購入から3年以内
- 正常に動作する
- 性能が業務要件を満たす
- 修理コストが妥当
廃棄する条件
- 購入から5年以上経過
- 故障または動作不安定
- 性能が著しく低い
- 修理コストが高額
再利用時の処理:
- クリーニング・メンテナンス
- OSの再インストール
- 必要なソフトウェアのインストール
- セキュリティ設定の実施
- 動作確認
- 次の使用者への配布
廃棄時の処理:
- データの完全消去
- 専門業者への委託
- 証明書の取得
- 資産台帳からの削除
回収困難なケースへの対応
ケース1:従業員が返却を拒否する場合
対応手順:
1. 理由の確認
- なぜ返却できないのか聞き取り
- 個別の事情への配慮
2. 就業規則の確認
- 貸与機器の返却義務の確認
- 違反した場合の規定
3. 段階的な対応
- まずは丁寧に説明と依頼
- 上司からの指導
- 人事部門からの警告
- 最終的には法的措置も検討
予防策:
- 貸与時に返却義務を明文化
- 定期的な所在確認
- 退職時の返却手続きの徹底
ケース2:機器が破損・紛失している場合
対応手順:
破損の場合
- 破損状況の確認
- 原因の特定(通常使用 or 過失)
- 修理可能性の判断
- 費用負担の決定
紛失の場合
- 警察への届出(盗難の可能性)
- 社内規定に基づく対応
- 情報漏洩リスクの評価
- 必要に応じて関係先への通知
費用負担のルール化:
- 通常使用による劣化:会社負担
- 明らかな過失による破損:従業員負担
- 紛失:状況に応じて判断
ケース3:データが残っている場合
対応手順:
1. データの内容確認
- 業務データか個人データか
- 機密情報の有無
- バックアップの必要性
2. 従業員への連絡
- データが残っていることを通知
- バックアップの希望を確認
- 期限を設定して対応依頼
3. 処理の実施
- 必要なデータは保存
- 不要なデータは削除
- 機密データは特別な処理
テレワーク機器管理のベストプラクティス
将来的なトラブルを避けるため、平常時から適切な管理を行いましょう。
貸与時のルール設定
文書化すべき事項:
- 使用目的の明確化(業務のみ)
- 私的利用の禁止
- 返却義務の明記
- 破損・紛失時の対応
- データ管理のルール
誓約書の取得: 貸与時に従業員から誓約書を取得することで、トラブル時の対応がスムーズになります。
定期的な棚卸し
実施頻度: 最低でも年1回、できれば半期に1回
確認項目:
- 機器の所在確認
- 使用状況の確認
- 動作状況の確認
- セキュリティ更新の確認
方法:
- オンラインでの自己申告
- 写真による確認
- 必要に応じて訪問確認
MDM(モバイルデバイス管理)の活用
MDMでできること:
- リモートからの位置情報確認
- デバイスのロック・ワイプ
- アプリケーション管理
- セキュリティポリシーの適用
- 使用状況のレポート
導入のメリット:
- 紛失時の迅速な対応
- セキュリティレベルの維持
- 管理工数の削減
まとめ:計画的な回収で安全性と効率性を両立
テレワーク終了に伴うIT機器回収は、適切な計画と手順で進めることで、安全かつ効率的に実施できます。
成功のための5つのポイント:
- 十分な事前周知:1ヶ月前からの計画的な告知
- 明確な手順:従業員が迷わない具体的な指示
- データ管理の徹底:バックアップと消去の確実な実施
- 柔軟な対応:個別事情への配慮
- 記録の保管:証明書類の適切な管理
リサイクルポケットでは、回収したIT機器のデータ消去から廃棄・リサイクルまで、一貫したサービスを提供しています。テレワーク終了に伴う大量の機器回収も、安全かつ効率的にサポートいたします。
テレワーク機器の回収・処分についてのご相談は、お気軽にお問い合わせください。貴社の状況に応じた最適なソリューションをご提案いたします。
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