産業廃棄物の種類と適正処理方法:事業者が知っておくべき20種類の完全ガイド
はじめに
事業活動を行う中で必ず発生する産業廃棄物の適正処理は、環境保護と法的遵守の観点から極めて重要です。産業廃棄物は特定の業種から出る廃棄物で、事業ごみとは異なる規制があります。本記事では、横浜市で産業廃棄物収集運搬業を営む当社が、廃棄物処理法に基づく産業廃棄物の分類と適正処理方法について詳しく解説いたします。
産業廃棄物とは
法的定義
廃棄物処理法第2条4項によると、産業廃棄物に当てはまるごみは「事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物」とされています。
産業廃棄物は事業活動に伴って生じた廃棄物であり、廃棄物処理法で定められた20種類の廃棄物のことを指します。これらの廃棄物は、一般廃棄物とは異なる特別な処理基準が適用されます。
産業廃棄物20種類の詳細分類
1. 業種限定なし(12種類)
以下の12種類は、排出する業種に関係なく産業廃棄物として扱われます:
1. 燃え殻
- 石炭がらや焼却炉の残灰
- 産業用ボイラーの燃焼残渣
- 処理方法: 埋立処分、セメント原料としてのリサイクル
2. 汚泥
- 工場排水処理汚泥
- 建設現場の掘削汚泥
- 処理方法: 脱水処理後の埋立、改良土としてのリサイクル
3. 廃油
- 潤滑油、切削油
- 重油、軽油等の廃油
- 処理方法: 再生油への精製、燃料としての利用
4. 廃酸
- 硫酸、塩酸等の酸性廃液
- 写真現像廃液
- 処理方法: 中和処理後の放流、薬品回収
5. 廃アルカリ
- 苛性ソーダ等のアルカリ性廃液
- 石鹸製造廃液
- 処理方法: 中和処理、薬品回収
6. 廃プラスチック類
- 合成樹脂くず、廃タイヤ
- 合成皮革、合成ゴム
- 処理方法: 再生材として売却、代替燃料として再生
7. 紙くず(限定業種のみ)
- 建設業、パルプ製造業等からの紙くず
- 処理方法: 古紙回収、燃料化
8. 木くず(限定業種のみ)
- 建設業、木材製造業等からの木くず
- 処理方法: チップ化、バイオマス燃料
9. 繊維くず(限定業種のみ)
- 繊維工業からの天然繊維くず
- 処理方法: 反毛材料、燃料化
10. 動植物性残さ(限定業種のみ)
- 食品製造業からの動植物性残渣
- 処理方法: 堆肥化、飼料化
11. 動物系固形不要物(限定業種のみ)
- と畜場、食鳥処理場からの固形状不要物
- 処理方法: 肉骨粉化、焼却処分
12. ゴムくず
- 天然ゴムが含まれている物
- 処理方法: 再生ゴム、燃料化
2. 業種限定あり(8種類)
以下の8種類は、特定の業種から排出される場合のみ産業廃棄物となります:
13. 金属くず
- 鉄くず、銅くず、アルミくず
- 処理方法: 金属回収、再生利用
14. ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず
- 建設廃材、ガラス製品の破片
- 処理方法: 路盤材、再生骨材
15. 鉱さい
- 製鉄所、非鉄金属製錬所からの鉱滓
- 処理方法: セメント原料、路盤材
16. がれき類
- 建設現場からのコンクリート破片
- 処理方法: 再生骨材、路盤材
17. 家畜ふん尿(限定業種のみ)
- 畜産業からの家畜排泄物
- 処理方法: 堆肥化、バイオガス発電
18. 家畜死体(限定業種のみ)
- 畜産業からの家畜死体
- 処理方法: 焼却処分、化製処理
19. ばいじん
- 工場の集塵装置で捕集されたばいじん
- 処理方法: 固化処理後埋立
20. その他(政令で定める廃棄物)
- 以上19種類に該当しない政令指定廃棄物
- 処理方法: 種類に応じた適正処理
適正処理の重要性
法的義務
廃棄物処理法では「産業廃棄物の排出事業者は、事業活動にともなって生じた廃棄物を自らの責任で処理しなければならない」と、定められています。
処理基準の遵守
産業廃棄物が飛び散ったり、流れ出ないようにすること、悪臭、騒音、振動により、周囲の生活環境に悪影響が出ないように必要な措置をとることが求められています。
横浜市における産業廃棄物処理
地域特性を活かしたサービス
横浜市は工業地帯と住宅地が混在する特殊な環境にあり、産業廃棄物の適正処理が特に重要です。当社では、この地域特性を理解し、迅速かつ適正な収集運搬サービスを提供しています。
処理ネットワーク
神奈川県および横浜市の許可を受けた処理業者との連携により、確実な最終処分まで責任を持って対応いたします。
事業者が注意すべきポイント
1. 廃棄物の分別
各種類に応じた適切な分別が処理コスト削減とリサイクル率向上につながります。
2. マニフェスト制度の遵守
産業廃棄物の処理委託時には、適切なマニフェスト(産業廃棄物管理票)の交付が必要です。
3. 処理業者の選定
許可業者であることの確認と、適正処理能力の見極めが重要です。
環境への配慮とリサイクル推進
サーキュラーエコノミーの実現
リサイクルや中間処理で可能な限り廃棄物を削減するような対策を推進し、持続可能な社会の実現に貢献します。
最終処分場の負荷軽減
適切なリサイクルにより、限りある最終処分場の延命を図ります。
まとめ
産業廃棄物の適正処理は、単なる法的義務を超えて、企業の社会的責任と環境保護への貢献を示す重要な取り組みです。横浜市内の事業者様におかれましては、適切な分別と処理業者の選定により、環境負荷の軽減とコスト削減を同時に実現していただければと思います。
リサイクル・ポケットでは、産業廃棄物の適正処理に関するご相談を随時承っております。廃棄物の分類や処理方法についてご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
本記事の内容は2025年6月現在の廃棄物処理法に基づいています。法令の改正等により内容が変更される場合がありますので、最新の情報については関係機関にご確認ください。